「なぜだ!?売掛先は、誰もが知るあの大手企業だぞ…?」
ファクタリングの審査に落ちた、ある経営者の悲痛な叫びが、私の耳に今も残っています。
彼は、誰もが羨むような優良な売掛債権を持っていました。
それなのに、なぜか複数のファクタリング会社から、立て続けに「買取不可」の烙印を押されてしまったのです。
資金繰りの計画が根底から覆り、途方に暮れる彼の姿を見て、私は確信しました。
多くの経営者が、ファクタリング審査における「決定的な何か」を見落としている、と。
こんにちは、戦略的キャッシュフロー改善コンサルタントの速水健太です。
私自身、過去に何度もファクタリングを活用し、数々の資金繰りの修羅場を乗り越えてきました。
その中で、審査に通る会社と落ちる会社には、明確な「違い」があることに気づいたのです。
多くの人が「ファクタリングは売掛先の信用力が全て」と信じて疑いません。
しかし、それは真実の半分でしかありません。
本記事では、その「もう半分の真実」を、私の経験と徹底的なリサーチに基づき、白日の下に晒します。
あなたがもし、「優良な売掛債権があるのに、なぜか審査に通らない」と悩んでいるのなら、この記事はあなたのためのものです。
読み終える頃には、あなたは自らが犯していた「3つの過ち」に気づき、次こそは確実に審査を突破する「正しい戦い方」を手にしているはずです。
目次
ファクタリング審査の「3つの柱」を理解していますか?
ファクタリングの審査は、決して「売掛先の信用力」という一本足打法ではありません。
それは、3つの太い柱によって支えられています。
- 売掛先の信用度
- 売掛金回収の確実性
- 利用者の信頼性
この3つの柱が、バランス良く強固であって初めて、審査という名の橋を渡ることができるのです。
多くの経営者は、1つ目の柱ばかりに気を取られ、残りの2つの柱が脆く、崩れかけていることに気づいていません。
柱1:売掛先の信用度(最重要だが、全てではない)
もちろん、売掛先の信用度が最重要であることは間違いありません。
ファクタリング会社にとって、買い取った売掛金が回収できなければ、それは丸損となるからです。
ファクタリング会社が審査基準として何より重要視するのが、売掛先の信用度の高さです。 [1]
具体的には、売掛先の経営状況、財務状況、業種、規模などを総合的に判断します。
一般的に、上場企業や大手企業、官公庁などの売掛債権は、信用度が高いと評価されます。
逆に、設立間もない企業や、赤字が続いている企業、そして個人事業主の売掛債権は、審査が厳しくなる、あるいは買取不可となるケースがほとんどです。
柱2:売掛金回収の確実性(見落とされがちなポイント)
次に重要なのが、その売掛金が「本当に、期日通りに回収できるのか」という確実性です。
どんなに信用度の高い売掛先であっても、その売掛金自体に問題があれば、審査には通りません。
- 支払期日までの期間が長すぎないか?
- 支払期日までの期間が長いほど、その間に売掛先の経営状況が悪化するリスクが高まります。一般的に、60日を超える売掛金は敬遠される傾向にあります。[2]
- 債権譲渡禁止特約が付いていないか?
- 売掛先との基本契約書に「この債権は第三者に譲渡してはならない」という一文が盛り込まれている場合、3社間ファクタリングは絶望的です。2社間ファクタリングでも、リスクが高いと判断され、審査に落ちる原因となります。[3]
- 二重譲渡や架空債権の疑いはないか?
- 言うまでもありませんが、これは犯罪行為です。ファクタリング会社は、過去の取引履歴などを精査し、その売掛金が正当なものであるかを厳しくチェックします。
柱3:利用者の信頼性(あなた自身も審査されている)
そして、多くの経営者が見落としているのが、この3つ目の柱です。
ファクタリング会社は、売掛先だけでなく、「あなた」という経営者、そしてあなたの「会社」そのものも、厳しく審査しています。
ファクタリングの審査では、売掛先だけでなく利用者の信用度もある程度は重視されます。もっとも重視されるのは売掛先の信用度であり、売掛金の回収の見込みであるものの、信頼できない利用者と判断されれば審査落ちします。[4]
特に、利用者から売掛金を回収する「2社間ファクタリング」においては、この利用者の信頼性が、審査の可否を大きく左右します。
- 売掛先との取引歴は十分か?
- 提出された書類は正確か?
- 税金や社会保険料の滞納はないか?
- 面談での対応は誠実か?
これらの要素が、あなたの「信頼性」を形作るのです。
売掛先という「土地」がどんなに良くても、その上に家を建てる「あなた」が信頼できなければ、誰も投資はしてくれないのです。
【過ち1】「売掛先さえ良ければ通る」という思い込み
「売掛先は超優良企業。これで審査に落ちるはずがない」
そう豪語していた、知人経営者B社長の顔が忘れられません。
彼は、誰もが知る大手ゼネコンから、数千万円規模の工事を請け負っていました。
その売掛債権を元に、新たな設備投資のための資金をファクタリングで調達しようと、意気揚々と複数の会社に申し込みました。
しかし、結果は、無情にも「全滅」。
彼は、電話口で私にこうまくし立てました。
「速水さん、信じられますか!?あの〇〇(大手ゼネコン名)の案件ですよ!?ファクタリング会社は見る目がないんじゃないのか!」
私は、彼の興奮をなだめながら、一つだけ質問しました。
「B社長、税金の支払いは、きちんとされていますか?」
電話の向こうで、彼が息を呑むのが分かりました。
なぜ「税金滞納」が致命的なのか
B社長の敗因は、まさに「税金の滞納」でした。
彼は、消費税の支払いを数ヶ月間、滞納していたのです。
「売掛先が良ければ、自社の少々の滞納くらい、大目に見てもらえるだろう」
その甘い考えが、彼の資金調達計画を根底から覆したのです。
ファクタリング会社が、なぜこれほどまでに税金の滞納を嫌うのか。理由は、極めてシンプルです。
税金を滞納していると、国によって売掛金が差し押さえられるリスクが生じるため、ファクタリング会社が売掛金を回収できなくなる可能性があります。[2]
国税の徴収権は、あらゆる債権に優先します。
もし、あなたの会社が税金を滞納していれば、税務署は、あなたの売掛先に対して「〇〇社(あなた)に支払う代金を、代わりに税務署に支払いなさい」と、売掛金を差し押さえることができるのです。
そうなれば、ファクタリング会社は、買い取ったはずの売掛金を回収できず、丸損してしまいます。
こんなリスクを、ファクタリング会社が冒すはずがありません。
だからこそ、彼らは審査の際に、納税証明書の提出を求め、あなたの会社の納税状況を厳しくチェックするのです。
あなたの会社の財務状況も「審査対象」である
税金滞納だけではありません。
ファクタリング会社は、あなたの会社の財務状況そのものも見ています。
- 著しい債務超過や、複数期連続の赤字決算ではないか?
- 他の金融機関からの借入が過大で、自転車操業に陥っていないか?
- ノンバンクや、ましてやヤミ金融からの借金の形跡はないか?
これらの状況は、2社間ファクタリングにおいて、あなたが売掛先から回収した売掛金を、他の支払いに充ててしまい、ファクタリング会社への支払いが滞る「使い込みリスク」を連想させます。
「売掛先さえ良ければ、自社の財務状況は関係ない」
それは、審査に落ちる経営者が犯す、典型的な一つ目の過ちなのです。
【過ち2】「とりあえず申し込めばいい」という準備不足
「急いでいるんだ!とにかく申し込んで、話はそれからだ!」
資金繰りに窮している時ほど、このように考えてしまう経営者は少なくありません。
しかし、この「準備不足」こそが、本来なら通るはずの審査を、自ら台無しにしてしまう、二つ目の大きな過ちなのです。
ファクタリングの申し込みは、レストランの予約ではありません。それは、あなたの会社の経営管理能力が試される「試験」の場でもあるのです。
書類不備が招く致命的な評価
「提出書類に不備がある」
これは、ファクタリング会社が審査を断る、非常に多い理由の一つです。
ファクタリングの審査に落ちる主な理由のひとつは、提出書類に不備があることです。書類に不備が多いと、経営管理が十分でないとみなされ、信用力が低いと判断される場合があります。[2]
審査担当者は、毎日何十社もの書類に目を通しています。その中で、不備のある書類は、どのように映るでしょうか?
「この会社は、普段から管理がずさんなのだろうな」
「こんな基本的なこともできない会社と、本当に取引して大丈夫だろうか?」
たかが書類の不備、と侮ってはいけません。それは、あなたの会社の信用力を、無言のうちに貶めているのです。
よくある書類の不備パターン
具体的には、以下のようなケースが散見されます。
- 請求書の宛名や金額が、契約書と異なっている
- 請求書の発行日や支払期日が、手書きで修正されている
- 入金履歴が確認できる通帳のコピーが、指定された期間に満たない
- 代表者の身分証明書の有効期限が切れている
これらの不備は、審査を遅らせるだけでなく、「取引の信憑性に欠ける」という致命的な評価に直結します。
審査に落ちる「売掛金の選び方」
「どの売掛金で申し込むか」という戦略の欠如も、準備不足の典型です。
支払期日が遠すぎる売掛金
前述の通り、支払期日が60日、90日と長くなるほど、ファクタリング会社が負うリスクは増大します。まずは、30日~45日以内の、確実に入金が見込める売掛金で申し込むのが鉄則です。
取引実績のない売掛金
初めて取引する相手の売掛金で申し込むのも、賢明ではありません。ファクタリング会社は、あなたとその売掛先との、過去からの継続的な取引履歴を確認することで、その債権の安定性を評価します。[5]
最低でも2~3回以上の入金実績がある売掛金を選ぶべきです。
額面金額が低すぎる売掛金
10万円や20万円といった少額の売掛金も、審査に落ちる原因となり得ます。ファクタリング会社にも、審査や契約手続きにコストがかかるため、採算が合わないと判断されてしまうのです。多くの会社が「最低買取金額」を設定しているのは、このためです。
「とりあえず、手元にある請求書で申し込もう」
その無戦略が、あなたを審査落ちへと導いているのかもしれません。
【過ち3】「審査は形式的なもの」という認識の甘さ
最後の過ちは、経営者の「姿勢」そのものに関する問題です。
「金さえ払えばいいんだろう」
「こっちは客だぞ」
信じられないかもしれませんが、ファクタリング会社の担当者に対して、このような態度を取ってしまう経営者が、後を絶たないと言います。
これは、ファクタリングを単なる「お金を調達する作業」としか捉えていない、致命的な認識の甘さから来ています。
その「態度」が審査結果を左右する
ファクタリング会社の担当者も、人間です。
横柄な態度や、不誠実な対応をされれば、「この経営者とは、信頼関係を築けない」と感じるのは当然のことです。
横柄で不誠実な態度を取る人物や、自転車操業でヤミ金融業者から借金がある場合などは、審査落ちする可能性が高くなります。[4]
特に、2社間ファクタリングにおいては、売掛先からの入金後、ファクタリング会社へ速やかに支払いを行うのは、利用者である「あなた」の役割です。
担当者は、面談でのやり取りを通じて、「この経営者は、回収した売掛金を使い込まず、きちんと支払ってくれるだろうか」という、あなたの人間性を見極めようとしています。
審査で「一発アウト」になる不誠実な態度
- 質問に対して、曖昧な答えに終始する
- 自社の不利な情報(税金滞納など)を意図的に隠そうとする
- 要求された追加書類を、理由なく提出しない
- 経歴や事業内容について、平気で嘘をつく
これらの行為は、信頼関係を根底から破壊し、「この会社とは取引できない」という最終判断を下される、十分な理由となります。
ファクタリングは「パートナーシップ」である
そもそも、ファクタリングは、単発の資金調達手段であると同時に、あなたの会社を継続的に支える「パートナー」となり得る存在です。
一度、良好な関係を築くことができれば、将来、再び資金が必要になった際に、よりスムーズに、より良い条件でサポートしてくれる可能性が高まります。
審査の場を、「お金を借りる場所」ではなく、「ビジネスパートナーを見つける場所」と捉える。
その認識の転換こそが、あなたの会社の未来を切り拓く鍵となるのです。
審査通過率を劇的に上げる「5つの鉄則」
では、どうすれば、これらの過ちを犯すことなく、ファクタリング審査という名の城壁を突破できるのか。
私が数々の資金調達の現場で培ってきた、明日から実践できる「5つの鉄則」を授けます。
鉄則1:税金は「1円」たりとも滞納しない
これは、絶対のルールです。もし、現在滞納があるのであれば、ファクタリングを申し込む前に、まず税務署に相談し、分納の手続きなどを進めてください。その上で、ファクタリング会社の担当者に、正直に状況を説明することが不可欠です。
鉄則2:書類は「完璧な状態」で提出する
申し込み前に、必ず必要書類のチェックリストを作成してください。そして、請求書、契約書、通帳のコピーなど、すべての書類に齟齬がないか、第三者の目も借りて、徹底的に確認しましょう。その一手間が、あなたの信用度を大きく左右します。
鉄則3:「勝てる売掛金」で勝負する
あなたの手元にある売掛金の中で、最も「審査に通りやすい」ものはどれか。戦略的に選び抜いてください。
- 取引実績が豊富で、関係性が良好な売掛先
- 支払期日が「60日以内」の売掛先
- 大手企業や官公庁など、信用力が高い売掛先
この3つの条件を満たす売掛金で、まずは勝負を挑むべきです。
鉄則4:正直に、誠実に、オープンに話す
審査面談は、自分を良く見せるためのプレゼンの場ではありません。あなたの会社の現状を、正直に、誠実に伝える場です。不利な情報があったとしても、それを隠すのではなく、どのように改善しようとしているのかを、前向きな姿勢で語ってください。その真摯な態度こそが、信頼を勝ち取るのです。
鉄則5:複数のファクタリング会社と交渉する
1社だけの審査に落ちたからといって、諦めるのはまだ早い。ファクタリング会社によって、審査基準や得意な業種は異なります。最低でも3社と交渉し、最も自社を評価してくれるパートナーを見つけ出す努力を怠ってはいけません。
まとめ:審査に落ちる本当の理由
「売掛先は大手なのに、なぜ審査に落ちたのか?」
その答えは、もうお分かりでしょう。
ファクタリングの審査は、売掛先という「土地」の価値だけで決まるものではありません。
その土地の上に立つ、あなたの「会社」と「あなた自身」の信頼性という、2つの柱が、同じくらい重要だからです。
あなたが犯していた過ちは、以下の3つではなかったでしょうか?
- 「売掛先さえ良ければ通る」という思い込み(自社の税金滞納や財務状況を軽視)
- 「とりあえず申し込めばいい」という準備不足(書類不備や売掛金の戦略的選択の欠如)
- 「審査は形式的なもの」という認識の甘さ(不誠実な態度による信頼関係の破壊)
資金繰りの苦境は、経営者の冷静な判断力を鈍らせます。しかし、そんな時だからこそ、一度立ち止まり、自らの足元を見つめ直す勇気が必要です。
審査に落ちるのは、あなたに「価値」がないからではない。ただ、「戦い方」を知らなかっただけだ。
さあ、今すぐ行動を。この記事で学んだ「3つの過ち」を反面教師とし、「5つの鉄則」を武器に、次なる審査に挑んでください。正しい準備と誠実な姿勢があれば、あなたの会社を救う扉は、必ず開かれます。
